Geminiで薬局業務を仕組み化!情報提供テンプレートを共有・運用する方法

薬局/中小企業事例

1. なぜ「仕組み化」が必要なのか

AI活用を始めると、最初にこう感じる薬剤師は多いでしょう。

「自分が使えば早いけど、他の人には難しい」
「AIの使い方を説明する時間がない」

つまり、属人的なAI活用になってしまうのです。

そこで必要なのが「仕組み化」。
つまり──

誰が入力しても同じ品質で、AIが自動的に正しい形に導く仕組み

を作ることです。
これが整うと、**薬局全体が“AIと共に成長するチーム”**になります。


2. 目指す姿:AIと薬剤師が共に動く文書生成フロー

【情報入力】→【Geminiテンプレート反映】→【自動出力・保存】

1️⃣ 現場スタッフがGoogleフォームに症例情報を入力
2️⃣ Geminiが指定テンプレートを参照して文章を生成
3️⃣ Googleスプレッドシートに文書を自動保存・共有

この流れが完成すると、文書作成が10分→1分に短縮されます。


3. 実装に必要なツール

ツール用途補足
🧠 Gemini(生成AI)文書生成指定テンプレートを参照
📋 Googleフォーム現場入力薬局スタッフでも操作簡単
📊 Googleスプレッドシートデータ格納・出力管理自動保存・管理者確認用
⚙️ Google Apps Script(GAS)自動化入力→出力→保存を自動連携

4. Geminiテンプレートの設計例

Geminiに与える「質問テンプレート」を、スプレッドシートの1シートにまとめておきます。

🧾 テンプレート例:情報提供書(副作用報告)

Noテンプレート名指示内容(Geminiへのプロンプト)
1副作用報告「以下の情報を基に、医師への情報提供書を作成してください。文章は200〜300文字で、丁寧な医療文書として整えてください。患者情報:{患者情報} 症状:{症状} 服薬経過:{服薬経過} 対応内容:{対応内容}」
2相互作用「併用薬の相互作用を踏まえて医師に報告する文案を作成してください。〜」

このように**{変数}**で囲んだ部分を、Googleフォームから自動挿入します。


5. Googleフォーム入力設計例

スタッフが入力しやすいように、フォームはシンプルにします。

質問形式
患者情報記述式70代女性/骨粗鬆症
症状記述式倦怠感・食欲低下
服薬経過記述式服薬2週間後より症状出現、服薬中断で軽減
対応内容記述式医師へ連絡予定、再開可否相談
テンプレート選択プルダウン副作用報告/相互作用/服薬フォロー

入力後、スプレッドシートに自動転記されます。


6. GASによる自動生成フロー(概念)

1️⃣ スプレッドシートに新規データが入ると、
2️⃣ GASが該当テンプレートを呼び出し、Gemini APIに送信
3️⃣ Geminiが文案を生成し、同シートの「出力欄」に結果を返す

これにより、「フォーム入力 → 文案完成」までが完全自動になります。

📘 GASコード例(イメージ)
(※実際のコード解説は別記事で紹介)

function onFormSubmit(e) {
  const sheet = e.source.getActiveSheet();
  const row = e.range.getRow();
  const data = sheet.getRange(row, 1, 1, sheet.getLastColumn()).getValues()[0];
  
  const template = getTemplate(data[4]); // テンプレート選択列
  const prompt = fillTemplate(template, data);
  
  const result = callGeminiAPI(prompt);
  sheet.getRange(row, 6).setValue(result); // 出力列に記載
}

7. 運用ルールを定めて“全員が使える状態”にする

仕組みを作ったら、運用ルールもセットで明文化しましょう。

項目内容
テンプレートの更新管理薬剤師またはAI担当が月1回見直す
出力内容の確認提出前に必ず薬剤師が確認・修正
フォームアクセス権薬局スタッフ限定(Googleアカウント必須)
Geminiの利用ログ自動保存して教育に活用

仕組みだけでなく、「どう使うか」をルール化することで、
属人化しないAI活用が実現します。


8. 成功の鍵:「共通テンプレート×継続改善」

AIの強みは「繰り返すほど賢くなる」点。
Geminiが出した文案をレビューし、その修正版を再学習データとして共有することで、
薬局独自の“学習型テンプレート”に育っていきます。

🔁 フィードバックサイクル

出力 → 確認 → 修正 → 共有 → 改善

このサイクルをチームで回すことが、AI活用薬局の最重要ポイントです。


9. まとめ:AIを“チームの知恵”に変える

個人がAIを使いこなす段階から、
チーム全体がAIと共に考える段階へ。

  • 初級:質問力を磨く(個人スキル)
  • 中級:AIと共作する(思考プロセス)
  • 上級:仕組みにする(チーム資産)

AI活用は、ツールの話ではなく、組織の成長設計です。
Geminiは、薬局が「知識共有と成長」を自動化するための共通言語になります。


📘 次のアクション

1️⃣ Googleフォームとスプレッドシートで試作してみる
2️⃣ Geminiテンプレートを1種類から始める
3️⃣ GAS連携で自動出力化する(※コードは別記事で解説予定)