Google Apps Script(以下GAS)を使って業務効率化を進めるとき、欠かせないのが「ライブラリ」の活用です。
特に薬局業務では、在庫管理や患者フォローの仕組みを効率化するうえで、ライブラリを使うと 「同じ処理を繰り返し書かなくて済む」 という大きなメリットがあります。

例えばA列とB列を比較するGASは在庫管理では汎用することができます
この記事では、GASライブラリの基本的な使い方と薬局での具体的な活用例を解説します。
Google Apps Scriptを薬局で使うとコードが複雑になりがち
例えばGoogleフォームで服薬フォローの入力を受け付け、スプレッドシートにまとめて管理する仕組みを作ったとします。
最初は1つのスクリプトで十分ですが、通知メール送信や日付処理などを追加していくと、コードがどんどん長くなり管理が大変になります。
「この処理は前にも書いた気がするけど、どこにあるんだっけ?」と探す時間が増え、せっかくの自動化がストレスになることも少なくありません。
GASライブラリを使って共通処理をまとめる
この課題を解決するのが 「GASライブラリ」 です。
ライブラリとは、よく使う処理をひとまとめにし、複数のプロジェクトから呼び出せる仕組みのこと。
例えば、以下のような処理をライブラリ化できます。
- 日付をフォーマットする関数
- SlackやLINEへ通知する関数
- 複数シートに一括でデータを書き込む関数
これらをライブラリとして作成しておけば、どのプロジェクトでも再利用でき、「一度作れば、どこでも使える」 状態を実現できます。
GASライブラリの基本的な使い方(薬局業務を例に)
① ライブラリ用のプロジェクトを作成する
まず、共通で使いたい処理をまとめたプロジェクトを新規作成します。
例:日付を「yyyy/MM/dd」形式に整える関数
function formatDate(date) {
return Utilities.formatDate(date, "Asia/Tokyo", "yyyy/MM/dd");
}
② デプロイしてライブラリIDを取得する
スクリプトエディタのメニューから「公開 → APIとして導入可能」に設定すると、ライブラリIDが発行されます。
このIDをコピーしておきましょう。
③ 別のGASプロジェクトでライブラリを追加する
実際に使いたいプロジェクト(例:服薬フォローフォーム管理用)を開き、「ライブラリを追加」から、先ほどのライブラリIDを入力します。
追加後はライブラリ名を指定して関数を呼び出せます。
// ライブラリを呼び出して日付を整形
function testDateFormat() {
var today = new Date();
var formatted = MyLib.formatDate(today);
Logger.log(formatted); // 例:2025/08/18
}
④ 調剤薬局での具体的な応用例
- 患者フォローフォームの日付を一括フォーマット
- 在庫管理シートの更新時にSlackへ自動通知
- 薬歴業務に関するリマインドメールを自動送信
複数の店舗や業務でもライブラリを再利用できるため、薬局全体の標準化に役立ちます。
GASライブラリを使うと薬局DXが加速する
GASライブラリを導入すると、薬局業務において次のような効果が期待できます。
- コードの再利用性アップ:一度作った処理を複数の業務で使える
- メンテナンス性向上:修正はライブラリ1か所だけでOK
- 薬局全体での統一化:複数店舗で同じ処理を共有できる
- 時間短縮:単純作業を自動化し、薬剤師は対人業務へ集中できる
まとめ:GASライブラリで薬局DXを一歩進めよう
薬局DXを進める上で、GASライブラリは「小さな効率化の積み重ね」を支える強力な武器です。
まずは日付処理や通知処理など、シンプルな関数からライブラリ化を始めましょう。
「1回作った処理を薬局全体で何度でも使える」この体験が、薬局のDXを確実に前進させます。